基礎藍子学及び演習
高森藍子担当のTofuです.2020年アドベントカレンダー3日目の記事を担当します.
今日は私の事務所の高森藍子について話します.他の高森藍子についてではないのであしからず.
概論(キャラコンセプト)
恒久性,優しさ,探究心という3つの基底から完成されたカリスマ性を持つアイドル.
・恒久性……人格が外的要因に左右されず,変わらない性質
・優しさ……他者の痛みや苦しみを理解し,重んじる心
・探究心……特定の事柄に興味を持ち,挑戦しようとする気概
・カリスマ性……独自の世界観を持ち,他者を引きつけ導く器
恒久性と探究心はよくセットで表現され,それは「信念」であると解釈できます.
(解説)
高森藍子は,よくゆるふわと形容されるアイドル.表面からその優しさが溢れ出ているため,全ての人に慈悲を持って接する女神のように見えるかもしれません.しかしその実態は,恒久性によって生じたあまりにも強靭な個性のために誰もそれに作用することができず,またその探究心から一方的に自分のペースに巻き込んでしまう圧倒的な天然のカリスマを持つ少女です.ブラックホールみたいですね.
ところで,一般に人は老化と共に時間の経過を早く感じるようになります.これは好奇心の劣化によって世界に輝きが失われることが原因と言われています.実は,藍子がこの世に生を受けてから,本人の体を流れる時間は変わっていません.しかし,人は成長する過程で,その体に流れる時間感覚を速めていくのが普通です.つまり,高森藍子は他のアイドルと比べて相対的に時間の流れが遅いだけということ.なぜ藍子の時間だけが加速しないのか.その答えは,先ほど話した藍子の恒久性と探究心(信念)にあります.
最後に,藍子の優しさは,単に程度の大きい優しさではなく,恒久性と探究心(信念)からくる論理性のある優しさである,ということも彼女のカリスマ性に繋がっています.どういうことかというと,誰かが落ち込んでいる時,一時の慰めの言葉をかけるのではなく,どうすればその人の痛みや苦しみが取り除かれるのかを将来性を検証しつつアドバイスをする,というのが藍子のスタンス.具体的には,本編で落ち込んでいるありすや歌鈴に対して,「その環境での幸せをうまく見つけて,それに向けた方針を決めさせた」という描写がわかりやすいです.
このように,速度が変わらないという性質,まっすぐ進み続ける性質は,現実の物理学における光の性質に共通しています.高森藍子は光だった……?
演習(プロフィールと考察)
以上に挙げた藍子の基底を用いてプロフィールの一部を読み解いていきます.
・なぜ16歳なのか?
藍子の人智を超えた優しさと子供のように純粋な探究心を同時に矛盾なく描写できる年齢が16歳しかないからです.15歳だとここまでの優しさを発揮するには幼すぎ,17歳だと探究心の描写からイロモノとして扱われることになってしまいます.
・なぜ東京都出身なのか?
もし藍子が地方出身だとすると,そのためにマイペースなのであり,都会に出て性格が変わってしまうという解釈に転じる恐れがある.東京都出身設定にすることで,生き急ぎがちな都会の環境に身を置きながらも藍子がこの佇まいを維持してきたという恒久性を表現しています.
・なぜバストが控えめなのか?
これにはふたつの説がありますが,どちらも優しさの表現という要素が共通しています.
A.マウンティング防止説
女性は,バストの大きさで他の女性に対して優劣感や劣等感を覚えるそう.優しさを持つ藍子に攻撃性をできるだけ与えないために,できるだけバストを小さくデザインした,という説です.
B.幼稚性の表現説
藍子は先述したとおり優しさに溢れていて,その性質は雰囲気や佇まいにも反映されています.もしこのままバストを大きくすると,純粋な探究心の表現に支障をきたす恐れがあります.ただ受け入れるための器ではなく,藍子自身が幼い頃から信念を持ち続けてきた主体であることを強く描写するために,バストを小さくデザインした,という説です.
どの様にして優しさと信念を描写しているか、という検証は応用藍子学の時間があればしたいと思います.
おまけ(メタ藍子学への招待)
物語のテーマの一つに,「登場人物の成長」があります.人間が成長するには強さだけではなく弱さが必要です.また,主に成長が描写されるのは主人公とその仲間たちであり,助言者や悪役はそれを必要としないこともあります.
では藍子の弱さとは何か?それは物語中の弱さではなく,「信念に反する心情の変化や優しさに基づく弱さがないこと」.矛盾しているように見えますが,これは創作においては致命的な欠点となります.
弱さ,平たく言えば負の感情が存在しない藍子は,普通の成長をすることができません.成長できないということは,少なくとも主人公側の登場人物として描写することはできない.つまり,藍子はそのカリスマ性故に,主人公に配置することが困難なアイドルのひとりであり,創作での扱われ方は上級者向け.物語における位置付けが非常に難しく,魅力的に描写するには特別な工夫が必要になります.
しかし,この難点を克服できれば,藍子は他にない独自性を持つキャラクターとして活躍できるでしょう.気が向いたらぜひ筆をとってみてはいかがでしょうか.
まとめ
高森藍子の話でした.高森藍子の心情を読解する際の参考になれば幸いです.
明日の記事は腹いーたーさんです.よろしくお願いします.