藍子学演習第一 〜誰かの「好き」に「共感」する〜

 高森藍子担当のTofuです.D@NPEN2020年アドべントカレンダー12日目の記事を担当します.

adventar.org

 先日,友人の高森藍子担当PであるR氏と対談を行いました.彼は如何にして高森藍子と出会い,担当することになったのか.今回は,前回までの記事「コンテンツとの付き合い方について - TofuP’s diary」「基礎藍子学及び演習 - TofuP’s diary」との関連で,改めて担当アイドルという概念について,そして高森藍子について考察します.

 また,この記事に書いた内容はTofuの主観であり,R氏及び高森藍子に関する情報の真偽に対して責任を持つことはできません.

第一章 R氏の経歴

デレステとの出会い

 R氏のアイドルマスターは,デレステから始まりました.もともと音ゲーに興味を持っていた彼は,キャラゲーとの兼ね合いに興味を持ち,デレステをプレイしてみたそうです.いざ始めてみたところ,やはり音ゲー部分が楽しく,モチベーションを維持してプレイを続けることができたとのこと.

 今でこそ最高難易度であるmaster+を早期攻略するほどの腕前ですが,最初はregularのクリアにも苦戦したそう.それでもデレステをやめなかったのは,彼の音ゲーへの素質の高さ故でしょうか.彼は上達を実感し,順調にデレステにはまっていきました.

アイドルたちとの出会い

 ゲームの攻略と並行して,アイドル達についても知り始めるR氏.プレイ開始当初にイベントが行われていた「生存本能ヴァルキュリア」のコミュを読むだけでなく,放送されていたアニメ版シンデレラガールズを見ることで,何人かのアイドルの特徴を捉えたとのこと.加えてこの頃から,担当アイドルという概念を知り,「自分も担当アイドルを作ろうかなぁ」と思うようになるのです.

 しかし,この頃は藍子について深く印象することはなかったそう.彼と担当アイドルを結び付けたのは,1枚目のSSRでした.

f:id:TofuP:20201212005519p:plain

高森藍子との出会い

 デレステを始めたばかりの頃は,必ず初めに引いたSSRをメインで使っていくことになるもの.R氏も例外ではなく,SSRの藍子を編成してプレイしていました.

 せっかくプロデュースするのだからコミュも読んでみようということで,藍子のアイドルコミュ(固有のコミュ)に目を通したそうです.彼はその後もSSRを引くたび,アイドルコミュを読んでいきました.

 実際には,藍子を引いた時点でティンときたものがあったのか,彼女を担当にしようと薄々思っていたそうです.結局,2枚目以降のアイドルコミュを読んでいってもその考えは変わらず.「特に変える理由がない」という理由から,藍子を担当アイドルにしたのだとか.

 なぜ変える理由がなかったのかはまた後ほど言及します

道明寺歌鈴との出会い

 副担当,というほどではないそうですが,藍子の次にR氏にとって大切なアイドルに歌鈴がいます.彼女を認識したのも,月末限定という形でSSRを引き,アイドルコミュを見てから,ということでした.

 SSRの3Dモデルの出来がよかったこと.そして良い意味で期待を裏切った,現実のライブでの圧倒的なパフォーマンスに魅了されたことが,自分にとって歌鈴というアイドルを強く印象づける要因だと彼自身が分析しています.しかし,それでも藍子とは違い,担当アイドルには据えないとのこと.一体,歌鈴と藍子の間にどんな違いがあるのでしょうか.

f:id:TofuP:20201212230128p:plain

第二章 藍子である必要性

「好き」と「共感」の違い

 R氏の藍子への想い.その根底にあり,ただ一つ,他のアイドルには満たし得ないもの,それは「共感」でした.

 先述の歌鈴や,他にもまゆなどはストーリーを読んでいて面白いキャラクターであるから「好き」であると言える.しかし,それは「共感」とは違う.創作物としてその物語の面白さを楽しむのではなく,藍子の人間性に共感し,自分自身と重ねられたことが,彼と藍子の間を硬く結ぶ絆となったのです.

キャラクターに「共感」するということ

 ライブに参加したことのある方は覚えがあるかもしれませんが,開場前,プロデューサーたちは必ずと言って良いほど名刺を交換したり,セトリについて話し合ったりしてお互いにコミュニケーションを試みます.この時,「〇〇担当の〇〇です」というように,自己紹介に伴って,その担当アイドルも記述することが定式化されている.このことからも,アイマスというコンテンツにとって担当アイドルの概念がどれだけ大切にされているかがわかるでしょう.

 R氏は,担当アイドルの選択を「最も善き友人の選択」と同様であると語ります.誰もが持っている,「自分の性格の中でこれが一番大切な要素だ」という気持ち.それを受け止めてくれるキャラクターが,彼の場合は藍子であり,同じアイマスPとのコミュニケーションにおいては,「自分はこういう人間である」という自己紹介をすることは,担当アイドルを伝えることになるのではないか,と考えているのです.

 キャラクターに「共感」するとは,「そのキャラクターの言動を自分に重ねた場合の違和感が限りなく少ない」ことと同値だと彼は言います.では藍子のどんな言動が,彼のどんな性格にとって違和感がなかったのでしょうか.

「共感」した理由

 そもそも,R氏は何か特別大きな出来事がきっかけとなって藍子に共感したわけではありません.ストーリーに触れる中で,細かい積み重ねが共感に繋がっていった,という前提があることは覚えておく必要があります.

 その上でひとつ,例として挙げられるのは,集団での藍子の立ち位置や言動.リーダーでもなく,後ろにいるわけでもない.全体を調律するような立ち回りが,彼の大事にしている人格のひとつと当てはまったと言います.

f:id:TofuP:20201212153307p:plain

 また,アイドルコミュの1話で見られるような,「積極的に人と繋がろうとする姿勢」も,彼が大切にしている性格のひとつであるとのこと.現実のライブにおいて,また小旅行に出かけたときなどにおいても,積極的な交流を彼は大事にしている.それが血となり肉となっている実感が,彼にはあるのかもしれません.

f:id:TofuP:20201212152330p:plain

 他には,ヴァルキュリアのイベントコミュ第4話も題材として例示されました.困難な出来事でもあくまで実行するという意志や,ポジティブな考え方で空気を変えようとする行動に共感したそうです.

f:id:TofuP:20201212155036p:plain

 このような思考・言動への共感が,藍子を担当アイドルたらしめていることはわかりました.では,彼はどのように,前述したような性格を形成したのか.答えは,その過去にありました.

第三章 彼を形作るもの

集団社会における人格の形成

 そもそも,R氏は幼少期にはここまで活動的な性格ではありませんでした.芯がなく,気弱で,虐められることもあったといいます.

 ある日,彼は偶然,いじめっ子たちに反撃しました.それは意識した行動ではなく,衝動的なものであったといいます.その結果,いじめっ子たちは以前のような威勢はなくなり,自分にも良い結末をもたらすことになった.この出来事から,彼は自分から行動すること,人に流されず,自分のしたいと思う行動を貫くことの大切さを知ることになります.さらに,その手段として彼が選んだのは,「誰かの好きなことに興味を持つこと」.だから,積極的にコミュニケーションをとることが大切だと考えるようになったんですね.

 しかしながら,なぜ彼はここまで気弱ながらも,衝動的な反撃に転じることができたのでしょうか.さらなる過去を覗いてみる必要がありそうです.

家族との関係性

  両親が喧嘩している場面に直面したことがあるでしょうか.それは,子供にとって客観的な観測よりも大きな影響力を持つことがあります.R氏もそうでした.一般的に,子供は好奇心旺盛で表現することに対する欲求が強く,それによって突拍子もない行動をとることがあります.しかし,彼には表現する健全な両親という対象がなかったために,他の子供に比べると内気な性格になっていきました.

 やはりというべきか,両親は離婚し,母親が親権を持つことに.しかし,彼の母親には持病があり,発作で倒れることがあったといいます.そんなとき,彼女を助けられるのはそばにいるR氏ただ一人.「自分が行動しないと取り返しのつかないことになる」現象を目の前にし,彼は理屈ではなく心で,人は死ぬということ,そして行動する義務があるということを学びました.このことから,彼は同世代の子供達に比べて並外れた行動力を見につけ,衝動的な反撃にも転じることができた,と分析しています.

藍子という終着点

 自らの経験から藍子という人格への共感へたどり着いたR氏.しかし,その経緯は藍子が辿ってきた道とは大きく違うものだったことでしょう.これは大変面白い結果です.

 このことから,彼にとって「担当アイドルの選択と自らの過去は切り離せない」こと,そして重要なのはそこに至る経緯ではなく,「今自分が大切にしている性格との重なり」であることがわかりました.つまり,担当アイドルとは,アイマスにおける自分の象徴であるという言葉以上に,その人が何を大切に思っているのかを簡便に表す導のような役割を担っていると考えることもできます.

 ここで大事なのは,「今の自分が実際にどのような性格なのか」ではなく,「自分がどうなりたいか」「自分の何に自信を持っているのか」ということ.事実,彼は積極性に長けるだけでなく,論理的思考力や問題解決力にも秀でていますから,要するに人間性や能力というよりは,考え方の重点担当アイドルの選択に影響しているんですね.

f:id:TofuP:20201212170732j:plain

 まとめ

 R氏と藍子を結ぶものについて書きました.担当アイドルという概念について,そして藍子について考える参考になれば幸いです.

 

 明日の記事はけにあさんです.よろしくお願いします.